超硬工具を再研磨に出すタイミングは?

目次

加工精度を維持するには、超硬工具を定期的に再研磨にすることが大切です。

ここでは、再研磨に出すタイミングの目安を紹介している他、買い替えを検討するタイミングも解説しています。再研磨するか、そのまま使い続けるか、買い替えるかの判断材料としてご活用ください。

超硬工具は再研磨に出せる

ソリッドタイプのドリル、エンドミル、リーマは、刃長や剛性が十分に残っていれば再研磨ができます。ドリルなら3〜5回エンドミルなら2〜3回の再利用が一般的です。再研磨後は摩耗形態に合わせて再コーティングを施すことで工具寿命の延長ができます。

刃先交換式のスローアウェイチップは、基本的に使い捨て設計です。一部の特殊な形状や高価な大型チップには再研磨サービスが存在しますが、標準チップは新品へ交換したほうが低コストで済み、加工精度も安定するケースがほとんどです。

再研磨の適切なタイミング

超硬工具の性能を長く引き出すためには、摩耗や欠けが軽微なうちに再研磨に出すことが重要です。

逃げ面摩耗幅 VB が 0.1〜0.2mm(仕上げ加工)に達した頃を目安にすると、再研磨後も外径と剛性を保ちやすく、加工精度が安定します。摩耗の進行は加工音の変化、面粗度の悪化、主軸電流やトルクの上昇でも察知できます。
これらの兆候が現れたら、早めに専門業者へ再研磨を依頼しましょう。

再研磨しても
欠けが頻発する場合

工具材種やコーティングが加工条件に合っていない可能性があります。場合によっては、被削材や切削パターンに適したグレードへ変更を検討する必要があります。

選定に迷った時は、テストカットデータを持参してメーカーに相談するのが近道です。本サイトでは、業種別でおすすめの超硬合金メーカーを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

超硬工具の再研磨方法と
気を付けるべきポイント

自社で対応する場合

自社対応のメリットは、迅速に再研磨できるため、急な生産計画の変更にも対応しやすい点です。工具の使用頻度が多い企業では、長期的に見るとトータルコストを抑制できます。

一方、工具研削盤や専用のダイヤモンド砥石といった高額な初期投資に加え、再研磨に関する専門知識と熟練技術が必須です。加えて、複雑な形状や特殊コーティング工具の再研磨には限界があることを理解しておく必要があります。

最初はシンプルな2枚刃エンドミルから再研磨を始めてから、徐々に複雑形状へ拡大すると失敗のリスクが低くなります。社内では研削に集中し、外部のPVD業者と連携するというハイブリッド方式も有効です。

他社に依頼する場合

再研磨を他社に依頼する場合、自社で高額な設備投資や専門技術者の育成を行う必要がなく、本来の製造業務にリソースを集中できるというメリットがあります。

一方で、再研磨費用と工具の輸送費がかかり、工具を送付してから戻ってくるまでには一定の納期が必要です。重要な工具が破損した場合は生産ラインが停止する可能性があるため、予備工具の確保や余裕を持ったスケジュール管理が欠かせません。

再研磨の品質は業者によって差が出る可能性があるため、技術力や品質管理体制などを確認し、信頼できる業者を選ぶことも重要です。

再研磨頻度が高い場合は
買い替えも検討

超硬工具の種類によっては、再研磨を施すことで繰り返し使用できます。しかし、工具の状態によっては再研磨が難しかったり、摩耗や欠けが生じたりする場合もあります。トラブルが頻発する場合には、早めに新品へ切り替えることで重大な破損や事故を未然に防ぎ、コスト抑制にもつながります。

メーカーによって、超硬工具の素材やコーティングの配合は異なり、得意な加工分野も違うもの。買い替えの際は、各社の特徴を比較し、自社の加工条件に合う一本を選ぶことが重要です。

本サイトでは、超硬合金メーカーの一覧を掲載しているので、参考にしてください。

【業種別】超硬合金メーカー3選
大量生産に対応する 自動車部品・金型メーカー
向け
トーカロイ
トーカロイ
引用元:トーカロイ公式HP(https://www.tokaloy.co.jp/)  
高刃立ちの素材で、切断品質と
寿命を両立し大量生産に応える

超々微粒子構造と最大HRA95.0の高硬度設計により、大量生産を行う環境でも切削品質が長時間持続。工具交換頻度の抑制による高稼働で生産性向上が可能。

金型の寿命を約55倍、刃物の寿命を約100倍に改善(※)した実績があり、工具の交換頻度を軽減。

大型・重量部品を扱う 構造部品メーカー
向け
ノトアロイ
ノトアロイ
引用元:ノトアロイ公式HP(https://www.notoalloy.co.jp/)
重量・長尺の超硬部品にも対応する
大物加工の頼れる選択肢

外径φ500mm、長さ1,000mmに対応する大物超硬加工設備を備え、重量物や長尺・高荷重部品の加工をピンホールが除去された高品質で提供できる。

他社で断られることの多い、重機部品における金型の大型化・複雑形状に応える供給体制を整備。

非磁性・クリーン対応が必須な 医療・分析機器メーカー
向け
シルバーロイ
シルバーロイ
引用元:シルバーロイ公式HP(http://www.silveralloy.co.jp/jp/index.htm)
非磁性で高硬度・高強度を両立
磁場に左右されない精密超硬材

医療・電子・真空機器などで、非磁性かつ高硬度・高耐蝕性が必要な環境に対し、非磁性超硬合金を提供。

非磁性と塩分・化学薬品に対する高耐蝕性、HRA90.8・抗折力約4,400MPaの強度により、磁場干渉や薬液劣化を防ぎ、精密部品の高寿命化に寄与。

※参照元:トーカロイ公式HP(https://www.tokaloy.co.jp/proposal