超硬工具の寿命を延ばしたい

目次

超硬工具の寿命は、工具素材や加工部品の素材、加工条件、使用頻度など、複数の要件によって変動するものです。

ここでは、超硬工具の寿命を見極める方法や、寿命を延ばす方法について解説しています。超硬工具の摩耗具合が気になっている方は、寿命かどうか見極める材料としてご活用ください。

超硬工具の寿命の目安

超硬工具の寿命は加工材料・切削条件・工具素材で大きく変わるため、「○時間使える」と一概にはいえません。国際規格 ISO 3685 では、逃げ面摩耗幅VBが0.30mm(仕上げ加工なら 0.10–0.20mm)に達した時点で寿命到達と定義しています。

累積稼働時間や加工個数ではなく、VB や主軸電流など刃先状態を計測し、VB が基準値に達したタイミングで再研磨や交換を行うことが肝要です。

それでも寿命が短い場合は、工具が加工条件に合っていない可能性があります。その場合は、被削材や加工内容に適した工具への変更をおすすめします。本サイトでは、業種別でおすすめの超硬合金メーカーを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

超硬工具の寿命を延ばす方法

超硬工具の寿命を延ばすには、加工する素材や加工方法に適した工具(材種、コーティング、形状)を選定します。切削条件(速度、送り、切り込み)の適正化や、機械・治具の剛性確保によるびびり振動抑制も重要です。

冷却・潤滑・切りくず排出を促すクーラント供給、衝撃負荷を回避する加工プログラムなど、安定した加工環境を構築・維持することも欠かせません。

摩耗状態を定期的に監視し、摩耗が許容範囲を超える前に再研磨やチップ交換を行うことも大切です。

超硬工具の
寿命を迎えた場合の対応

超硬工具を買い替える

著しい摩耗や欠けで修理・交換が難しい、または経済的ではない場合は、工具の買い替えについて検討が必要です。単に新調するよりも、現状の不具合を解消できる性能の工具を選ぶことで、寿命延長と加工品質向上を実現できるばかりでなく、コスト削減にもつながります。

買い替えの際は、被削材や加工条件に合った材種・刃形状の工具が入手可能かを確認し、情報を比較検討したうえで、必要に応じてメーカーに相談することをおすすめします。

超硬工具を処分する

使用できなくなった超硬工具を処分する方法は主に二種類あります。使用済み工具の回収リサイクルスキームを利用する方法と、専門買取業者に引き渡す方法です。

超硬工具の主成分であるタングステンは、非常に貴重な希少金属(レアメタル)であるため、使用済みの超硬工具はリサイクルが推奨されています。一部の工具メーカーは専用容器を配布し、超硬工具を回収・精錬するリサイクルスキームを運用しています。

産業廃棄物として
処理する際の注意点

許可業者への委託とマニフェスト管理が必須です。超硬工具を粉砕したり研磨したりする際に発生する粉じん、特にコバルトの取り扱いには十分注意し、安全管理を徹底することも忘れてはいけません。

超硬工具と一般金属くずを分別保管することで有価売却時の査定額が向上し、コバルト含有粉じんの飛散も抑制できます。

耐久性の高い超硬工具へ
切り替えるために

超硬工具の寿命は加工条件に大きく左右されます。管理の適正化で延命は可能ですが、改善が見込めない場合は、より耐久性の高い工具への更新を検討するべきでしょう。

メーカーごとに扱っている超硬合金材種やコーティングの特性が異なるため、加工内容に適した工具を選ぶために各社のラインアップを比較検討することが重要です。本サイトでは、超硬合金メーカーの一覧を掲載しているので、参考にしてください。

【業種別】超硬合金メーカー3選
大量生産に対応する 自動車部品・金型メーカー
向け
トーカロイ
トーカロイ
引用元:トーカロイ公式HP(https://www.tokaloy.co.jp/)  
高刃立ちの素材で、切断品質と
寿命を両立し大量生産に応える

超々微粒子構造と最大HRA95.0の高硬度設計により、大量生産を行う環境でも切削品質が長時間持続。工具交換頻度の抑制による高稼働で生産性向上が可能。

金型の寿命を約55倍、刃物の寿命を約100倍に改善(※)した実績があり、工具の交換頻度を軽減。

大型・重量部品を扱う 構造部品メーカー
向け
ノトアロイ
ノトアロイ
引用元:ノトアロイ公式HP(https://www.notoalloy.co.jp/)
重量・長尺の超硬部品にも対応する
大物加工の頼れる選択肢

外径φ500mm、長さ1,000mmに対応する大物超硬加工設備を備え、重量物や長尺・高荷重部品の加工をピンホールが除去された高品質で提供できる。

他社で断られることの多い、重機部品における金型の大型化・複雑形状に応える供給体制を整備。

非磁性・クリーン対応が必須な 医療・分析機器メーカー
向け
シルバーロイ
シルバーロイ
引用元:シルバーロイ公式HP(http://www.silveralloy.co.jp/jp/index.htm)
非磁性で高硬度・高強度を両立
磁場に左右されない精密超硬材

医療・電子・真空機器などで、非磁性かつ高硬度・高耐蝕性が必要な環境に対し、非磁性超硬合金を提供。

非磁性と塩分・化学薬品に対する高耐蝕性、HRA90.8・抗折力約4,400MPaの強度により、磁場干渉や薬液劣化を防ぎ、精密部品の高寿命化に寄与。

※参照元:トーカロイ公式HP(https://www.tokaloy.co.jp/proposal