金属や部品の加工を行う製造現場では、切削工具の性能が品質や効率に大きく影響します。その中でも超硬合金製チップは、耐久性の高さから多くの現場で重宝されている工具のひとつです。
このページでは、超硬合金製チップの基本的な特徴と、導入時に知っておきたいメリット・デメリットをご紹介します。
超硬合金製チップは、炭化タングステン(WC)とコバルト(Co)などの結合剤を高圧・高温で焼結した超硬合金を小型の刃先形状に成形した工具です。
工作機械の旋盤やフライス盤、ボーリングマシンなどにインサート型で装着し、金属や難削材の切削加工を行う際の刃として利用されます。
導入時には、コストや加工条件とのバランスを考える必要があります。メリットと注意しておきたいデメリットを解説します。
超硬合金は非常に硬く、熱にも強いため、高速での切削加工に適しています。加工スピードを上げても刃先が摩耗しにくいため、工具交換の手間やコストを抑えることが可能です。
ステンレスやチタンなどの加工が難しい素材に対応しやすく、航空機や医療機器といった高い精度が求められる分野でも活躍しています。
摩耗したチップだけを交換することにより、いつでも同じ品質で加工が可能。段取り時間の短縮にもつながり、ライン作業の安定化にも貢献します。
チップ1枚あたりの価格は高額なため、長期的なコストとのバランスに注意する必要があります。硬い反面、衝撃や断続的な加工にはやや脆い一面があります。条件が厳しい加工では、欠けや破損に注意が必要です。
一部のチップは再研磨や再利用ができますが、専用の設備や委託先が必要になることもあります。
実際に製作依頼をするには、既存のチップにおける摩耗進行速度、早期のチッピングや折損といった工具損傷の状況、加工精度や寿命に関する具体的な課題を詳細に分析・把握することが不可欠です。
本サイトでは、業種別によくある課題を解決できる超硬合金メーカーを紹介しているので、サプライヤー選定や課題解決の一助としてご活用ください。
チップを始めとする切削工具用の超硬合金材種を選ぶ際は、JIS B 4053を参考にするとよいでしょう。
被削材(加工対象の材料)や加工条件に応じて分類し、適切な呼び記号を付けるための規格です。チップの識別色や記号が表示され、選定の際の目安となります。
| P種(青) | 鋼や合金鋼の加工に適しており、耐熱性や耐溶着性に優れています。 |
|---|---|
| M種(黄) | ステンレス鋼や難削材の加工に適しており、熱的損傷と機械的損傷の両方に強い特性を持ちます。 |
| K種(赤) | 鋳鉄や非鉄金属の加工に適しており、靭性や機械的損傷に優れています。 |
| N種(緑) | アルミニウム合金などの非鉄金属の加工に適しています。 |
| S種(茶) | チタン合金や耐熱合金など、熱伝導率の低い材料の加工に適しています。 |
| H種(灰) | 高硬度材料や焼入れ鋼の加工に適しています。 |
※参照元:日本産業規格の簡易閲覧(https://kikakurui.com/b4/B4053-2013-01.html )
JIS規格以外にも、ISO規格(国際規格)・工具メーカー独自規格があるため、各メーカーのカタログや技術資料を参照しましょう。
| ミーリング(フライス)用チップ | ミーリング加工に使用される超硬チップで、高精度な切削面と高能率加工が可能です。 |
|---|---|
| 旋削用チップ | 旋盤加工で使われるチップで、外径加工、内径加工、突切り加工、ねじ切り加工などに対応。 |
| ドリル用チップ | 大径や深穴の穴あけ加工に使用されるタイプ。 ドリルの先端に取り付けます。 |
用途によって超硬合金の材種を変更することが重要です。本サイトでは、超硬合金の種類についても解説しているので、材料選定時の技術資料としてご参照ください。
超硬合金製チップを使用する際には、加工対象の素材特性を考慮して精密な加工条件の設定が求められます。
| 切削速度(Vc) | 旋削加工は、被削材の硬度や工具素材により調整。 フライス加工は、工具の直径や刃数、被削材の特性に応じて設定。 |
|---|---|
| 送り速度(f) | 加工の種類(荒加工・仕上げ加工)や工具の形状により調整。 |
| 切込み量(ap) | 工具の剛性や被削材の形状に応じて設定。 |
| 冷却方式 | 一般的には湿式加工が推奨されますが、工具や被削材により乾式加工が適する場合もあります。 |
被削材や加工内容に合わせた切削速度・送り速度・切込み量のバランスを調整することにより、安定した生産と品質向上に繋がります。
既製品の超硬合金金型を購入して加工する場合、即納が可能でコストを比較的抑えられるというメリットがあります。
一方で製造を依頼する際は、使用目的や加工対象に応じて設計されるため、加工条件の設定がしやすく、効率的な加工が実現しやすくなります。
難削材の加工や高精度を求められる場面では、オーダーメイドの工具が有効です。依頼を検討する際は、超硬加工の実績が豊富で、高度な加工設備を備えたメーカーへご相談しましょう。
引用元:トーカロイ公式HP(https://www.tokaloy.co.jp/)
引用元:ノトアロイ公式HP(https://www.notoalloy.co.jp/)
引用元:シルバーロイ公式HP(http://www.silveralloy.co.jp/jp/index.htm)