超硬合金の再生(リサイクル)とは

タングステンなどの希少金属を主原料とする超硬合金は、世界情勢による供給リスクを背景に再生の重要性が高まっています。本記事では、超硬合金を再生するメリットやスクラップの種類、再生処理の流れを解説します。

超硬合金を再生(リサイクル)するメリット

調達コストの削減と安定的な資源確保

超硬合金の主原料であるタングステンは、産出地が特定の国に偏っているため、地政学的なリスクや輸出規制の影響を受けやすい特徴があります。海外からの輸入に頼る割合が高いと、市場の需給バランスによって原材料価格が大きく変動しかねません。そこで国内で使用された超硬工具などを回収して再生利用すれば、外部環境に左右されにくい安定した調達ルートを築くことにつながります。新品の原料を購入する場合と比較して、原材料の調達コストを抑えられる可能性が高まる点も大きな魅力と言えます。

環境負荷の低減とSDGsへの貢献

希少な金属資源を地下から新たに採掘して精錬するプロセスでは、膨大なエネルギーが消費され、多くの二酸化炭素が排出されます。一方で、すでに製品化されたスクラップを回収して再生処理を行う方法は、鉱山からの新規採掘に比べてエネルギー消費量を大幅に削減できる傾向があります。環境保護への配慮やサステナビリティの追求が求められる現代のビジネスにおいて、資源を循環させる取り組みは非常に重要です。超硬合金のリサイクルを積極的に進めることは、企業の環境負荷を減らすだけでなく、SDGsの目標達成に向けた貢献アピールにも結びつきます。

再生対象となる主な超硬スクラップの種類

使用済みの超硬工具(ドリルやチップなど)

工場や加工現場で摩耗したり、欠けが発生したりして寿命を迎えた工具類は、貴重な再生資源として扱われます。具体的には、金属の切削加工に用いられるドリルやエンドミル、インサートチップなどが代表的な例です。これらは使用不可能になった後も、主成分である炭化タングステンの純度が高く維持されているケースが多いため、効率的なリサイクルに適しています。寿命が尽きたからといって廃棄処分にせず、スクラップとして適切に分別して管理することが、資源の有効活用に向けた第一歩となります。

製造工程で発生するスラッジ(研磨粉)や端材

超硬合金のスクラップとして再生できるのは、役目を終えた使用済みの工具だけではありません。製品を製造、または再研磨する工程において、削りかすとして発生するスラッジと呼ばれる研磨粉や、成形時などの端材も回収の対象となります。スラッジには水分や油分、研磨石の成分といった不純物が混ざっているものの、適切な処理を施すことで有用な金属成分を抽出して再利用することが可能です。これまで廃棄物として処理費用を支払っていた微細な粉末も、技術の進歩によって価値ある資源へと生まれ変わっています。

スクラップの回収から超硬合金が再生されるまでの流れ

専門業者による査定・買取・回収

超硬合金の再生に向けた最初のステップは、信頼できる専門のリサイクル業者へ相談することから始まります。業者は持ち込まれた、あるいは回収に赴いたスクラップの重量や金属の含有率、市場の相場を基にして査定を行い、適正な価格での買取を提示する流れが一般的です。不純物の混入度合いやスクラップの形状によって評価は変わるものの、価値ある資源として買い取られるため、処分費用の削減効果が期待できます。定期的な回収契約を結ぶことで、社内で効率よく保管と引き渡しを行う体制を整える企業も増えています。

リサイクル施設での選別・不純物の除去

回収されたスクラップはそのまま次の工程へ回されるのではなく、まずはリサイクル施設にて厳密な選別作業が行われます。超硬合金以外の異物や、工具に施されているコーティング膜、付着した油分などの不純物を丁寧に取り除く作業が欠かせません。選別の精度が低いと、最終的に再生される超硬合金の品質に影響を及ぼす恐れがあるため、熟練の技術や最新の機械装置による細かなチェックが必要です。この徹底した前処理を行うことで、新品の原料と遜色のないレベルへと再生するための土台が整います。

原料へ戻すための再生処理(亜鉛処理法など)

不純物が除去されたスクラップは、いくつかの化学的または物理的な手法を用いて、再び粉末状の原料へと戻されます。代表的な再生方法の一つである亜鉛処理法では、溶融した亜鉛と超硬スクラップを反応させて合金の組織を膨張させ、その後に亜鉛を蒸発させて取り除くことで、元の炭化タングステン粉末を回収します。このようにして抽出された再生粉末は、成分の調整や検査を経て、新しい超硬工具を製造するための原料として再利用される仕組みです。高度な技術によって、限りある資源が何度も形を変えて循環していきます。

まとめ

世界の情勢変化に伴うレアメタルの供給不安に備えるためにも、超硬合金の再生リサイクルは今後さらに重要な位置づけになると予想されます。使用済みの工具や製造工程でのスラッジを正しく分別して専門業者へ引き渡すことは、調達コストの抑制に直結するだけでなく、環境配慮という企業責任を果たす上でも有効な手段です。自社の製造現場で発生しているスクラップの扱いを一度見直し、資源の効率的な循環を社内で目指してみてはいかがでしょうか。持続可能なものづくりを支える一歩として、再生利用の検討をおすすめします。

【業種別】超硬合金メーカー3選
大量生産に対応する 自動車部品・金型メーカー
向け
トーカロイ
トーカロイ
引用元:トーカロイ公式HP(https://www.tokaloy.co.jp/)  
高刃立ちの素材で、切断品質と
寿命を両立し大量生産に応える

超々微粒子構造と最大HRA95.0の高硬度設計により、大量生産を行う環境でも切削品質が長時間持続。工具交換頻度の抑制による高稼働で生産性向上が可能。

金型の寿命を約55倍、刃物の寿命を約100倍に改善(※)した実績があり、工具の交換頻度を軽減。

大型・重量部品を扱う 構造部品メーカー
向け
ノトアロイ
ノトアロイ
引用元:ノトアロイ公式HP(https://www.notoalloy.co.jp/)
重量・長尺の超硬部品にも対応する
大物加工の頼れる選択肢

外径φ500mm、長さ1,000mmに対応する大物超硬加工設備を備え、重量物や長尺・高荷重部品の加工をピンホールが除去された高品質で提供できる。

他社で断られることの多い、重機部品における金型の大型化・複雑形状に応える供給体制を整備。

非磁性・クリーン対応が必須な 医療・分析機器メーカー
向け
シルバーロイ
シルバーロイ
引用元:シルバーロイ公式HP(http://www.silveralloy.co.jp/jp/index.htm)
非磁性で高硬度・高強度を両立
磁場に左右されない精密超硬材

医療・電子・真空機器などで、非磁性かつ高硬度・高耐蝕性が必要な環境に対し、非磁性超硬合金を提供。

非磁性と塩分・化学薬品に対する高耐蝕性、HRA90.8・抗折力約4,400MPaの強度により、磁場干渉や薬液劣化を防ぎ、精密部品の高寿命化に寄与。

※参照元:トーカロイ公式HP(https://www.tokaloy.co.jp/proposal