ここでは、セラミック(無結合材型)の特性や用途を解説します。なお、結合材を持たない本素材は、製造現場において一般的に「バインダレス超硬」と呼ばれているものです。通常の超硬合金とは異なる性質についてご紹介していきます。
この素材の大きな特性は、コバルトなどの結合材を含まないことに起因する高い硬度です。一般的な超硬合金と比較して、より硬く傷がつきにくい性質を持っています。そのため、摩耗が激しい環境下で使用を続けても、表面の減りが進行しにくくなっています。長期間にわたって寸法精度や安定した強度を保ちやすいため、摩耗による部品交換の頻度を抑えたい場面で重宝される素材と言えるでしょう。
セラミック(無結合材型)は、ヤング率が高く設定されており、外からの力が加わっても変形しにくいという強みがあります。剛性が求められる精密部品などには適した性質です。その一方で、衝撃を吸収する役割を果たす金属バインダーが含まれていないため、通常の超硬素材に比べて靭性(粘り強さ)は低くなる傾向が見られます。急激な衝撃や強い曲げ応力が加わると欠けや割れが生じる可能性があるため、使用環境の選定には配慮が必要です。
一般的な超硬合金の場合、高温環境下では熱に弱い金属結合材から軟化が始まり、全体の強度が低下してしまうことがあります。しかし、結合材を含まないセラミック(無結合材型)であれば、そのような金属由来の熱劣化を防ぐことが可能です。高温にさらされる状況でも硬度や強度の低下が比較的少なく、熱に対する安定性を維持しやすい設計となっています。熱による変形リスクを抑えたい加工現場において、有効な選択肢の一つとなります。
高温環境での使用を考える際、熱による軟化だけでなく、空気中の酸素と反応して劣化する「酸化」への強さも重要なポイントです。セラミック(無結合材型)は、高温での酸化に対する抵抗力を持っており、大気中の加熱環境においても表面の劣化が進行しにくいという特徴を備えています。酸化による組織のもろさや寸法変化を抑えられるため、高温での処理が必要な部品や、過酷な温度条件が続く設備などでも安定したパフォーマンスを期待できます。
金属の結合材を含まないという構造は、化学的な安定性にも良い影響を与えています。酸やアルカリなどの化学薬品に対する耐性が高く、通常の金属部品であれば腐食が進んでしまうような環境でも、安定した性能を維持することが可能です。そのため、薬品を扱うプラント設備や、腐食性ガスの影響を受けやすい装置の部品など、高い耐食性が求められる特殊な場面において広く活用されています。錆びや腐食によるトラブル軽減に役立つ素材と言えます。
一般的な超硬合金は、硬質な炭化タングステンと、コバルトやニッケルといった結合材の含有量や組み合わせによって特性が変化します。たとえば、結合材の比率を増やせば衝撃に耐える靭性が上がり、減れば硬度が高くなるという具合です。一方、セラミック(無結合材型)、すなわちバインダレス超硬は、この結合材をまったく含みません。そのため、他の金属の性質に影響されることなく、原料そのものが持つ高い硬度や耐食性を直接引き出せる点が大きな違いとなっています。
超硬合金メーカーには、それぞれに特徴があり、扱う材種も異なります。本サイトでは、業種別によくある課題を解決できる超硬合金メーカーを紹介しているので、サプライヤー選定や課題解決の一助としてご活用ください。
| 半導体・電子部品 | 精密金型、検査治具、ノズル |
|---|---|
| 光学機器 | ガラスレンズ成形用金型 |
| 医療・分析機器 | 耐腐食性部品、非磁性部品 |
| 化学・プラント | メカニカルシール、耐薬品性ポンプ部品 |
本サイトでは、超硬合金の用途についてまとめていますので、ご参照ください。
セラミック(無結合材型)は金属バインダーを使用しないため、粒子同士を結合させて緻密な組織を形成するために、高度で特殊な工程を経る必要があります。
| 優れた鏡面維持性 | 結合材の脱落(脱コバルト現象)が起きないため、平滑な鏡面状態を長く維持できる |
|---|---|
| 非磁性環境への対応 | 磁性体であるコバルト等を含まないため、電子線や磁場を嫌う精密装置内で使用可能 |
| コンタミネーション防止 | 金属不純物の溶出や混入が許されない半導体製造や医療分野でのクリーンな使用に適する |
| 真空・高温下での安定性 | 結合材の揮発やガス放出のリスクが低く、真空環境や高温プロセスでも安定稼働する |
超硬合金の主成分として知られる炭化タングステンですが、実は物質分類上はファインセラミックスの一種に該当します。通常はこれに金属の結合材を混ぜて焼結させますが、結合材を含まないバインダレス超硬は、純粋なセラミックスに近い性質を持つことになります。これが「セラミック(無結合材型)」と表現されることがある理由です。つまり、炭化タングステンという原料粉末そのものを、結合材なしで実用的な素材として成形・焼結した完成品が本素材にあたるとお考えください。
セラミック(無結合材型)、すなわちバインダレス超硬は、一般的な超硬合金と比べて硬度や耐食性、耐熱性に優れた特性を持つ素材です。金属結合材を持たないため、衝撃に対する靭性が低い点にはあらかじめ留意する必要があります。しかし、精密金型や耐腐食性が求められる部品など、特定のシビアな環境下では欠かせない存在として活躍しています。用途や加工の条件に合わせて、適切に素材を選択していくことが大切と言えるでしょう。
本メディアでは業種別におすすめの超硬合金メーカーを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
引用元:トーカロイ公式HP(https://www.tokaloy.co.jp/)
引用元:ノトアロイ公式HP(https://www.notoalloy.co.jp/)
引用元:シルバーロイ公式HP(http://www.silveralloy.co.jp/jp/index.htm)